医師にとって医師免許を取得したら、その病院の医局に入って勤務していくというのは典型的なキャリアパスであり、関連する病院を転々としながら経験を積んでいくことにより一人前の医師として医療に従事できるようになっていきます。そして、そのまま病院勤務を続けていくという選択肢をとるか、開業医となって自分のクリニックを開くかということが中年頃になって必要になる大きなキャリアの選択となっていたのが事実です。しかし、最近では複数の医師を抱えて営業するクリニックの数が急増していることを受けて、若いうちから病院ではなくクリニックで働くというキャリアパスを選ぶこともできるようになってきました。病院に比べると高度な医療を学ぶことはできないものの、より身近な疾患に対する適切な診断と治療とを実施していくことができるため、将来的に開業したいという人にとって魅力的な進路となってきています。
しかし、そういったクリニックが増えてきたことを受けて、個人で開業する医師にとっては営業を続けるのがしばしば難しくなってきているのも事実です。複数の医師がいることによって診療時間を延長したり、診療日を増やしたりするのが容易になっているからであり、そういったサービス面で個人では太刀打ちできない状況が生まれてきています。そのため、開業医になるよりもクリニックに勤務を続けた方が賢い判断になるというのも事実であるのが現状となってきています。