本国では受けられない高度な治療や禁止されている治療を、外国で受けることを医療ツーリズムと呼びます。タイの病院は、医療ツーリズムの受け入れに力を入れていることで知られています。タイは観光王国としても有名ですが、医療ツーリズムは単なる観光よりも高い収益をあげることができるからです。大都市の私立病院では、5つ星ホテル並みの豪華な施設を備え、専属の通訳を配置するなど、充実したサービスで外国人の患者を誘致しています。
もちろん肝心の医療レベルも、先進国と比べて遜色のないものです。医療ツーリズムでタイを訪れる外国人は、年間数十万人を数えており、病院の大きな収入源となっています。もともと医療費の高額なアメリカやアラブ諸国に比べると、タイの医療機関は豪華でも格安といえるため、富裕層を中心に多くの患者が訪れます。しかし保険制度の整った日本から見ると、必ずしも格安というわけではありません。
わざわざ外国で治療を受けようとするケースは、美容整形や植毛手術など、日本では保険が適用されない分野が中心になります。日本人男性が十数人の女性に代理出産させていたというニュースがありましたが、あのようなことは現在は禁止されています。とはいえ日本語のできるスタッフを置いている病院もあり、安心して治療を受けられる態勢は整っています。旅行先で急病になった場合に備えて、日本語で対応できる病院の電話連絡先を覚えておくと良いでしょう。